旧国道13号線 栗子峠

福島側

その3
(二ツ小屋隧道周辺探索)


高平隧道旧道に始まり旧山神橋、中野第一・第二トンネル旧道、大滝第一・第二トンネル旧道、
旧猪沢橋、旧大路橋、新沢橋、旧新沢橋、そして連続ヘアピン区間。
栗子峠へのアプローチ道路の旧道群を紹介してきましたが、
いよいよ栗子隧道福島側坑口への区間が始まります。

二ツ小屋隧道に到着後、2人で隧道の周辺を少し探索することにしました。
隧道は崩壊が進んでおり、耐久性が心配されます。






↓↓↓二ツ小屋隧道の場所↓↓↓
mapion

通行日 
2004年5月2日
走行レポート


※レポート中の写真をクリックすると大きな写真(640×480)が見れます。


(この区間は地図に掲載されていないので概略図をを作成しました。
レポート中の番号は概略図の番号に該当しています。)
概略図はこちら




では隧道に入る前にあたりを探索してみることにする。






そうしてまず最初に目に付くのが隧道脇、東側にあるこの碑であろう。
そこにいたる為の階段も設けられているが
その手前側が大きな水溜りになっており飛び石で
ここをわたるハメになった・・・




そして間近に見る碑。
おばらさんによればこれは「鳳駕駐蹕之蹟」というもので、
明治天皇の東北巡幸の折、栗子隧道を超えてやってきた天皇が
この場所で鳳駕(天皇の乗り物)を降ろして休んだことを示す碑であるそうだ。
由緒ある碑なのである。
そういえばこれは大滝宿内にもあったなぁ。




そしてその碑の「上」にはさらに「山神」と書かれた碑がもう一つ。
確か戦前は天皇は神だったんじゃなかったかな・・・




さらに「山」と書かれた水準点風の標柱が。
ええ、確かにここは山ですが何か?(^-^;
そしてもう一つ、右の標柱は風化して丸みを帯びてしまっているが
これには「内」の文字が書かれていたと記憶している。
「山」や「内」とは一体何なのか??
以前、「街道web」のTUKAさんに
「「山」とはそのままの意味で、これは「山」と何かの境界を示したものではないか?」
という情報を頂いた。管理人の予想としては「内」とはこの道の竣工当時(明治時代)、
道路の管轄は「内務省」という機関が管理していたことから内務省の「内」で
あるのではないか?という予想が出来る。
つまり「道」と「山」の管轄の境界を示したものなのではないだろうか?
現代に置き換えるとこの表示は「農林水産省と国土交通省との境界」と言ったところか。




では隧道の坑門上に登ってみることにする。
この過程が危険であった。
写真に見えるような四角の瓦礫が斜面にのさばっており
足を乗せるとガラガラと崩れる。
崩れた瓦礫はトンネル前まで一直線という具合である。
落ちても死なないが確実に怪我は免れない高さではあり
まだまだ先は長い、こんな導入部分で探索を終了することだけは
どうしても避けたいのである。
おばらさんと共に慎重に足場を探しここを突破する。




そうして無事坑門上に渡ることが出来、果たしてどのくらいの人が
見たであろう坑門の裏側を拝むことが出来た。
門柱が突き出している。
二ツ小屋隧道坑門の70年は苔に覆われながらも重厚で、
そして綻びも少なく、ありきたりながら歴史を感じた。




万世大路を見下ろす、壮観である。
かつてどのくらいの車がここを通ったのだろうか?
ここから見ていると隧道内に入っていく車、出て来る車、
そんな当時の光景が目に浮かぶようだ。
もちろん現在ではかよう者もまばらなご覧のような荒れた道になってしまっている。
栄光と衰退、そんな70年をこの位置から見ていた「隧道の扁額」は知っているのだ。
さらにここからはもう一つはっきりと見えるものがある。
二ツ小屋隧道は昭和の大改修で明治の隧道を拡幅してさらに路面を掘り下げて
作られている為、明治の路床は現在よりも高い部分にあったのだ。
写真を見ていただけると、左右の法面上が掘り下げる前の路面の高さなのではないか?
と言える、そんな感じの雰囲気だ。しかも先ほどの「鳳駕駐蹕之蹟」もこの高さにあるのだ。
もはやこれは間違い無いであろう。
こうした寄り道も何がしかの収穫があったりするものである、侮れない、寄り道。




ところで隧道の坑門の上にはご覧のような斜面が広がっている。
先ほどこの坑門上に来る時、「四角の瓦礫」があると言ったが
どうやら「四角の瓦礫」はこの斜面から崩れてきたもののようだ。
しかし自然の石がこのように四角い石の集合となっているということはあるのだろうか?
地質には疎いがとても自然のものではないような感じを受けた。

こうして再び危険な瓦礫を超えて再び二ツ小屋隧道の前に降り立った我々は
隧道内へと歩を進めた。



つづく
(二ツ小屋隧道内部)



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