束松峠明治新道・束松洞門

その5



現在のR49藤峠開通前、越後街道はここ束松峠を越えるルートをとっていました。
しかし、輸送手段等に優れている(馬車が通れる等)藤峠が開通すると
それまでの束松峠を越えるルートは衰え、輸送で生計を立てていた束松峠沿線の住民
にとって大きな打撃を与える結果になってしまいました。
これを受け、束松峠沿線の住民が発起して束松峠の独力での改修を実行、
道路の改修に加え、峠に洞門を掘削することで馬車も通える新道(明治新道)を
明治27年、ついに完成させました。
こうして完成した新道の県道昇格を申請するも叶わず、
その後は鉄道輸送が本格化するに伴って衰退。
峠に作られた洞門も完成からわずか数年後には崩落してしまったという・・・
                      (「街道web」様 参考)





↓↓↓束松洞門の場所↓↓↓
mapion

通行日 2004年7月3日
走行レポート

束松峠の位置関係についてはこちら




「出口が無い!」
はい、これはヤラセでした(^_^;
実はこここそが束松洞門西側坑口なのです。出口が無いように見えますが、
出口の明かりが若干ですが見えているのが分かるでしょうか?
(写真にマウスを乗せてみてください。)
写真はストロボ撮影なのでわずかな光にしか見えませんが
真闇な隧道内では遠くからでもわずかですが、確認できる明かりでした。




なんとか出口まで辿り付けたな・・・と安堵するのも束の間、出口といってもこんな状態でした。
外界の明かりが遥か上に見えるではないですか!
と、いうかこの隙間・・・通れるのか??
さらにこの斜面・・・かなり急な・・・

考えても埒があかないのでとりあえず登ってみましょう。

一回目・・・ リュックが天井に引っかかって通れず、ううむ。
二回目・・・ 片手でリュックを牽引しながら登る。片手と両足だけでは
グリップが足りず滑り落ちる。むむむ・・・
三回目・・・ 最終手段、腹ばいになって体全体で斜面にグリップさせる。
匍匐前進で、リュックを牽引しつつ進む。成功!
が、全身土だらけ(´_`;





と、いうわけで・・・
東口から隧道に入洞後、約23分後。
無事西口に脱出成功!と相成った瞬間の写真です。
というか最初にここに来たら普通に坑口がどこか分からないでしょう。
(隧道の坑口には見えない・・・)
しかしまあこの時期に初見で西側坑口に辿り着くのは不可能だと
この後知ることになるのですが。




全身泥だらけになりながら苦労して脱出したはいいですが
先に見えるのは藪藪藪・・・一応道の痕跡はあるのですが、ほぼ緑色が支配する森の中でした。
しかしまた隧道に戻るのだけは勘弁だったので、腹を決めて明治道の
痕跡を辿りながら、この先で合流するはずの県道へ進むことに。
右の写真は坑口から少し進んだところから坑口方向を振り返って撮った写真です。
さて、どこに坑口があるでしょう?(^-^;
答・・・藪で見えません(笑)




ここで西側坑口の状態についてハートフルな絵(?)で少し詳しく説明。
坑口は
明らかに人為的に土砂を運び込んで埋められたような感じで
(↑すみません、記憶違いでした)
坑口脇が崩れ土砂が流出したことによって坑口が塞がれしまったようです。
その土砂によって坑口前にはちょっとした山が形成されており
坑口はその山と隧道が空けられている絶壁との間に
スリットのように細く空いており、溝のようにも見えます。
土砂の山の向こうはほんの少しだけ道の跡が見受けられますが
すぐに激藪に突入してしまいます・・・




これがほんの少し残った道跡。
両脇の山を掘り割って隧道への道を作った感じです。




この道跡も現在では格好の水路となっておるようです。
泥。




そして激藪。
季節を誤った、としか言いようの無い状態ですね。
いや、だからここまで来るつもりは・・・(泣)




それでも隧道内部の暗闇よりはかなりマシなはずだ!
と、闇の23分間を取り戻すように夏の日差しをたっぷり浴びて、
植物の息吹を存分にその身に受けながら猛進するの図。
隧道内のひんやりとした空気に汗も引いていたものが
再び滝のように流れ落ちてきて、服も手に持つ鉈も、
隧道を出るときに体にたっぷり付いた土にも水分を与えて、
かくして汗まみれ、泥まみれ、植物の種まみれになり・・・
自業自得也。




しかしながらさすがは一度は馬車道として整備された道です。
激しい藪の中にもしっかりとその「道」を確かめることが出来ます。
あきらかに人為的に削られた法面や、木の太さなどから
確かに道と呼べる道が続いているようです。
途中にはよく農家のおばちゃんがかぶっている日よけ帽が落ちていたり。
まさかおばちゃんも束松洞門を攻略したのか!?






しかしここでハプニング、明治道を堪能していると道が無い!(左上写真)
しかし他に分岐しているところなんて無かったはずですが・・・
まさか道だと思っていたものが道では無かったとか・・・?
そんなことを考えながらふと藪の斜面を下ってみると(右上写真)
道形らしきものを発見(下写真)
進んでみるも再び突破することは困難なほどの藪の壁にぶち当たり
進めず。




もはやどこに道があるのかまったく分からなくなり、
果ては自分がどこにいるのかも分からなくなってしまいました。
こういうのを迷ったというんでしょうかね(汗)
そのとき少し遠くから草刈機のエンジン音が聞こえてきました。
これはチャンス、近くに田畑がある!
ということで音のするほうへ斜面を急降下してみる。




幸いにして斜面は急ながらも太い木や植物が生い茂っており
足場や手がかりには困らないところでした。
以外とあっけなく開けた場所へでることが出来、
最後の強烈な藪を抜けると・・・




人里への脱出成功!
・・・が、ここどこ??




つづく


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