束松峠明治新道・束松洞門

その4



現在のR49藤峠開通前、越後街道はここ束松峠を越えるルートをとっていました。
しかし、輸送手段等に優れている(馬車が通れる等)藤峠が開通すると
それまでの束松峠を越えるルートは衰え、輸送で生計を立てていた束松峠沿線の住民
にとって大きな打撃を与える結果になってしまいました。
これを受け、束松峠沿線の住民が発起して束松峠の独力での改修を実行、
道路の改修に加え、峠に洞門を掘削することで馬車も通える新道(明治新道)を
明治27年、ついに完成させました。
こうして完成した新道の県道昇格を申請するも叶わず、
その後は鉄道輸送が本格化するに伴って衰退。
峠に作られた洞門も完成からわずか数年後には崩落してしまったという・・・
                      (「街道web」様 参考)





↓↓↓束松洞門の場所↓↓↓
mapion

通行日 2004年7月3日
走行レポート

束松峠の位置関係についてはこちら




閉塞洞門だったはずが一転して「崩落洞門」になってしまった束松洞門。
一度は引き返そうと思った来た方向を振り返ると小さいながらも
まだ入り口の光が確認できる距離にありました。
位置的には入り口から数10m(100mぐらいは、いってるかも?)は進んでいます。
と、すると230mの本洞門内では道のりの半分ほど。
次に外界の光を見ることが出来るのは何分後か、はたまた何十分後か。




それでは、いざ、崩落地点へ!




瓦礫に足を掛けると崩れる崩れる、時折蝙蝠の羽ばたきが聞こえる以外は
無音の空間にガラガラと足場の瓦礫が崩れる音を響かせながら四つんばいになって登る。
最も狭いところではリュックに刺していた鉈の柄が天井に強く「ガツン!」と引っかかり
足を滑らせ、肝を冷やしましたが何とか突破。
そんな中で撮った写真ですが、進行方向にははっきりと空間が広がっているのが確認でき、
緊張とその全身を使ったワーキングに思いがけぬ運動量となりました。






頂上はまだか、まだかと思いながら長い時間を掛けて登ってきたような
感覚が支配していましたが、実はわずか2〜3分しかかかっていなかったようです。
おそらく人生の中で最大に緊張した数分だったでしょう・・・
そうして瓦礫の斜面の頂上に登りつめ、ふぅ、と一息ついた瞬間、
バババババ!!!と物凄い音が洞内に響き渡った。
と、同時に天井を蠢くおびただしい数の蝙蝠が目に飛び込んできて
これまた肝を冷やしました。
おそらく数百匹は居たでしょうね・・・蝙蝠好きな方にはお勧めスポットですよ(^m^)




今登ってきた部分を見下ろして撮影です。
このわずかな隙間を縫って登ってきたわけですね。




これまでとは比較にならないような大量の大きな瓦礫の奥には
まだ洞門が続いているような雰囲気。
もしかしたら・・・このまま行ければ・・・反対側の坑口が塞がってなければ・・・
抜けられる?と思い始めたのはこのあたり。
可能性は十分にありそうです。
そしてここまで来て、それまでの湿気が嘘のように晴れているのが
写真からも分かると思います。
通じている?




!!
支保工だ!しかもその奥には先ほどとさほど変わりない
空間が続いているではないですか!
これほどの大崩落がそう何箇所もおきるとは考えにくい、
そう考えれば考えるほど「通り抜け」の期待が高まるのでした。

それではこの辺でここまでの道のりを整理してみましょう。




束松洞門断面図です。(かなり曖昧ですが)
上図では右から左に進んでいます。
入ってすぐに目に入る支保工、続いて高さの違う天井が続きます。
そして少し進んだ地点で現れた、本坑の横に掘られた謎の堀跡。
さらに進んだところで崩落地点で、現在は崩落した瓦礫の上に居ます。
この崩落も天井が高い所で起こった可能性が高く、そのために
天井が低い部分と高い部分の境目で隙間が極小になってしまったのではないか?
と考えています。もし、これが天井の低い部分で起こっていたならば
これほどの閉塞度にはならなかったような気がします。
なにはともあれ、もう少し崩落の量が多かったならば完全に閉塞していたでしょう。
そうすればdarkもこんなところまで入ってくる必要無かったのに・・・(笑)




支保工から先、洞門はキレイな丸い断面で奥に続いていました。
ところでこのあたり、地面一帯が黒い何かで覆われており
とりわけ白っぽい石の上は写真のように黒く目立っております。
これ、多分蝙蝠の糞です(^-^;
実は周辺はかび臭いようななんとも言えない”薫り”が漂っていたのですが
どうやらこれがその正体で間違い無さそうです。





無残に崩れ去った支保工。
支保工には鉄製と思われるボルトが使われており、
地元民によって作られたにしては、どうなんでしょう?
やはりこの支保工のみ後補のものなのか?

支保工は跨ぐには高く、くぐるには低い微妙な位置で立っており、
はっきり言って非常に「邪魔」です。
しかもこの支保工にはあまりベタベタ触りたくない理由があったのですよ。
言うまでも無く蝙蝠の糞が・・・ベッタリ
しかし慎重に通過しようとした努力も空しく、足元の瓦礫でバランスを崩して
「おっと」と、支保工をしっかりと掴んでしまったのでしたとさ(-_-;
15年前の小学生風に言うとこれで「しみ付き」ですな。
皆さん早くバリア張ったほうがいいですよ、darkは「しみ付き」ですから(笑)
と、言うかあのネタは今でもあるんだろうか・・・
(ネタが分からない方、すみません)




!!
そして少し進んだ地点で物凄い光景に出会った。
この場所はデフォルトで大きな写真でご覧頂きましょう。

この直角に切れ込んだ断面、そして路面はと言えば極めて平坦であり、
現在でも馬車で通れと言われれば十分に通れる状態を保っており
これが竣工当時の本来の姿なのだ!と一人歓喜しながら撮影。
ここは写真を見ても天井が極めて低いことが分かると思います。
管理人は身長174cmですが、普通の目線の高さから見て
天井がこんなにも近くに見えるのですから。
そう考えると馬車でこんなところを通れたのか??と
沸々と疑問が沸いてきたのでした。
いや、通れますけどね・・・通れるでしょうよ?
頭屈めれば・・・(ーー;

ちなみに蝙蝠はたまたま正面に写りました(^^;




いい物が見れたな・・・と心の奥で興奮しながらも
歩って来た距離を考えるともうかなり近づいていると思われる出口へ急ぐ。
って、あれ?道が、無い・・・!?(゚Δ゚;;



つづく


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